目的
- 2009年に「皮膚科医のみ」から「一般診療医(GP)および Nurse Practitioner(NP)」にも処方権が拡大された後,イソトレチノインの処方にどのような変化が起きたかを特定する
- イソトレチノンは日本未承認薬
研究デザイン
- ニュージーランドの医薬品国家データベース(Pharmaceutical National Collection)から取得した2008~2023年の年間処方データを分析
対象
- 2008~2023年に,ニュージーランドでニキビ治療のためにイソトレチノインを処方・調剤された全患者
主な評価項目
- 処方数の年間推移(医師の種類別,患者の民族別,社会的困窮度別)
結果
項目 | 2008年 | 2023年 |
---|---|---|
年間処方数合計 | 26,897 | 50,613(+87%増加) |
皮膚科医による処方割合 | 約100% | 21% |
一次診療(GP・NP)による処方割合 | 0% | 79% |
マオリへの処方数 | 1,750 | 4,374 |
- 年間処方数は87%増加し,2023年には50,613件となった
- 一次診療(GPおよびNP)が処方の大部分(79%)を占めるようになった
- 民族別では,マオリやアジア系患者への処方がヨーロッパ系患者よりも速いペースで増加
- 一方で,太平洋諸島系患者への処方は依然として低い水準
結論
- 処方権拡大により,イソトレチノインの利用が大幅に増加し,一次診療がその需要を吸収可能であることが示された
- 患者へのアクセスが向上し,特にマオリやアジア系など民族的少数派へのアクセス改善が見られたが,太平洋諸島系患者との格差は依然として存在
- 適切な教育とサポートを提供することで,一次診療でも安全かつ高品質なイソトレチノイン治療を提供できる可能性が示唆された
私見
- 海外ではこういう風にアクセスが改善しているけど,日本では元々病院やクリニックへのアクセスがいいからあまり参考にならないかもしれない
- 日本における医療アクセスの改善ってどういうことなのか,改めて考えさせられる