新規COREリスクスコアを用いた一般住民における10年間の肝硬変リスク予測:集団ベースのコホート研究

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

  • 肝疾患の初期段階を特定し、リスクを層別化するための、正確かつ簡便なツールの開発が求められていた。
  • 従来のFIB-4スコア(肝線維化の予測指標)と比較して、一般集団における重篤な肝臓関連アウトカム(MALO)をより正確に予測できる新しいモデルの検証が目的とされた。

目的

  • プライマリケアの現場において、重篤な肝臓関連アウトカム(MALO)の発生を予測する新規リスク予測モデルを開発し、検証すること。

方法

研究デザイン

スウェーデンで開発され、フィンランドとイギリスで外部検証された集団ベースのコホート研究。

対象者

肝疾患の既往がない一般住民約48万人がモデル開発に使用され、さらに約47万人が検証コホートに含まれた。

主要評価項目

代償性・非代償性肝硬変、肝細胞がん、肝移植、肝臓関連死亡を複合した10年間のMALOリスク。

COREモデル

年齢、性別、および日常的に測定可能な3つの肝酵素(AST、ALT、γ-GT)を用いて構築された。

結果

  • 中央値28年の追跡期間中に7,168件のMALOイベントが観察され、10年間のMALO発生リスクは0.27%であった。
予測能の比較:
  • 新規リスクスコアCORE(Cirrhosis Outcome Risk Estimator)の10年後のAUC(曲線下面積)は88%であり、既存のFIB-4スコアの79%を上回った。
  • COREの較正(キャリブレーション)は全ての検証コホートで良好であり、臨床的有用性を示す意思決定曲線分析でもFIB-4よりも高いネットベネフィットを提供した。

結論

  • プライマリケアで容易に利用できるバイオマーカーに基づくCOREモデルは、一般集団における肝臓関連アウトカムの予測において、FIB-4スコアを上回る性能を示した。
  • COREは、一般集団における肝疾患リスクの層別化を図るための新たな手段となりうる。