背景
- 急性A型大動脈解離の手術後、重度の急性腎障害(AKI)を発症した患者に対する最適な腎代替療法(RRT)の開始時期については、不確実性が残っていた。
- 本研究は、RRTの早期開始が90日死亡率を減少させ、臨床的転帰を改善するかを調査することを目的とした。
目的
急性A型大動脈解離術後の重度AKI患者において、RRTの早期開始が90日死亡率を減少させるか、および臨床的転帰を改善するかを検証すること。
方法
- 単施設で実施された無作為化比較対照試験。
- 対象患者は、術後にKDIGOステージ2の重度AKIと診断され、かつ特定のバイオマーカー(血漿NGAL > 150 ng/mL)が高値を示した患者(腎不全に直接関連する生命を脅かす合併症がない患者)。
- 患者は以下の2群に無作為に割り付けられた。
- 早期RRT群: KDIGOステージ2診断から6時間以内にRRTを開始。
- 標準治療群: KDIGOステージ3診断から8時間以内にRRTを開始。
- 主要評価項目は90日死亡率であった。
結果
- 212人の患者が組み入れられた。
- 90日死亡率: 早期RRT群(30.2%)は、標準治療群(51.9%)と比較して、有意な死亡率の低下が認められた(P = 0.001)。
- その他の死亡率: 院内死亡率(早期群 24.5% vs 標準群 38.7%; P = 0.03)および30日死亡率(早期群 28.3% vs 標準群 43.4%; P = 0.02)も、早期RRT群で減少した。
- その他の転帰: 臓器機能不全の臨床的証拠、集中治療室および入院期間の長さには、両群間で有意な差はなかった。
結論
本研究の結果は、腎代替療法の早期開始が患者の予後を改善することを明らかにした。
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