複雑な経皮的冠動脈インターベンションを受けるハイリスク患者における抗血小板療法の時間的調整(早期強化と後期減量):TAILORED-CHIP無作為化臨床試験

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

  • 複雑な経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けるハイリスク患者に対する最適な抗血小板戦略に関するデータは限られていた。
  • 本研究は、血小板阻害強度の時間的調整を伴うテーラード抗血小板療法(個別化された治療戦略)の有効性と安全性を調査することを目的とした。

目的

複雑なハイリスクPCIを受ける患者において、早期強化と後期減量を組み合わせたテーラード抗血小板戦略が、従来の二重抗血小板療法(DAPT)と比較して、複合的な有害事象の発生率を減少させるかを検証すること。

方法

  • 解剖学的または臨床的にハイリスクな特徴を持つ複雑なPCI施行患者2,018人を対象とした無作為化比較対照試験。
  • 患者は以下の2群に割り付けられた。
    • テーラード抗血小板療法群: 早期強化(6ヶ月未満:低用量チカグレロル+アスピリン)と後期減量(6ヶ月超:クロピドグレル単独療法)を実施。
    • 二重抗血小板療法(DAPT)群: クロピドグレル+アスピリンを12ヶ月間継続。
  • 主要評価項目は、12ヶ月時点での複合有害事象(全死亡、心筋梗塞脳卒中、ステント血栓症、予定外の緊急再血行再建術、および臨床的に重要な出血[BARC Type 2, 3, 5])であった。

結果

  • 主要評価項目: テーラード療法群(10.5%)と二重抗血小板療法群(8.8%)の間で、主要複合有害事象の発生率に有意な差は認められなかった(ハザード比 1.19; P=0.21)。
  • 虚血性イベント: 重大な虚血性イベントの発生率は、両群で類似しているように見受けられた。
  • 出血: 12ヶ月時点での臨床的に重要な出血の発生率は、テーラード療法群で7.2%と、二重抗血小板療法群の4.8%より高かった(差2.45%ポイント)。

結論

複雑なPCIを受けるハイリスク患者において、早期強化と後期減量を組み合わせたテーラード抗血小板戦略は、従来の二重抗血小板療法と比較して、12ヶ月時点での複合純有害事象の発生率を減少させなかった。