背景
- レボドパは、ドパミン作動性シグナル伝達を増強し、神経可塑性を刺激することで、脳卒中後の運動機能回復を高める可能性が指摘されていた。
- しかし、その有効性に関するエビデンスは一貫しておらず、レボドパは効果が不確実なまま脳卒中リハビリテーションで使用されてきた。
目的
急性期脳卒中患者において、標準化されたリハビリテーション(能動的な課題指向型訓練)に加えて、レボドパを投与することが、プラセボと比較して運動機能の回復を増強するかどうかを検証すること。
方法
- スイスの13の脳卒中ユニットおよびセンター、11のリハビリテーションセンターで実施された、二重盲検、プラセボ対照の無作為化臨床試験。
- 臨床的に意味のある片麻痺(NIHSSの運動項目などで合計3点以上)を有する急性虚血性または出血性脳卒中患者610人が組み入れられた。
- 参加者は、レボドパ/カルビドパ(100 mg/25 mg、1日3回)またはプラセボを39日間投与され、並行して標準化されたリハビリテーション治療を受けた。
- 主要評価項目は、3ヶ月時点でのFugl-Meyer Assessment(FMA)合計スコア(運動機能の指標、0~100点)の、調整後の群間平均差とされた。
結果
- 610人の参加者が登録され、主要解析の対象者は582人であった。ベースラインFMA合計スコアの中央値は34点であった。
- 3ヶ月時点のFMA合計スコアの中央値は、レボドパ群で68点、プラセボ群で64点であった。
- レボドパ群とプラセボ群のFMA合計スコアの平均差は-0.90点であり、これは統計学的に有意な改善を示さなかった(95%信頼区間: -3.78〜1.98; P = 0.54)。
- 重篤な有害事象の発生件数は、レボドパ群(126件)とプラセボ群(129件)で類似しており、最も一般的な事象は感染症であった。
結論
- この無作為化臨床試験において、急性期脳卒中患者に対する標準化されたリハビリテーションにレボドパを追加しても、3ヶ月時点での運動機能の有意な改善とは関連しなかった。
- これらの結果は、急性期脳卒中後の運動機能回復を増強するためのリハビリテーション補助療法として、レボドパを使用することを支持しない。
リンク