背景
強化降圧（診療室SBP <120 mmHg）は心血管イベント抑制に有益とされる一方、患者が感じる健康関連QOL（HRQoL）への影響は不明瞭だった
目的
高心血管リスクの高血圧患者において、強化降圧と標準降圧が長期HRQoLに与える影響を比較する（ESPRIT試験）
方法
デザイン
オープンラベル・盲検アウトカム評価・無作為化比較試験
対象
高心血管リスクの高血圧患者（強化 n=5,398、標準 n=5,406）
介入
- 強化降圧：診療室SBP <120 mmHg
- 標準降圧：診療室SBP <140 mmHg
主要指標
- EQ-5D-5LのVASスコア変化量
- EQ-5Dの5領域（移動、セルフケア、日常活動、痛み・不快、不安・抑うつ）のカテゴリ変化
- 追跡期間：約3.4年
結果
HRQoL（EQ-5D VAS）
- 変化量：+0.56（強化） vs −0.50（標準）
- 群間差：+1.26ポイント［95%CI 0.55–1.98、P<0.001］
- 「有意な改善」対「悪化」の相対リスク：1.16［95%CI 1.04–1.30、P=0.007］
領域別カテゴリ変化
5領域いずれも群間で有意差なし
結論
- 強化降圧はHRQoL（EQ-5D VAS）を「わずかに」改善
- 臨床的効果量は小さいが、少なくともQOLの悪化は示されなかった
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