背景
- 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS‑CoV‑2)は社会に大きな影響を与えた
- 持続可能な検査戦略は資源需要と健康影響の低減を両立させる上で重要だが、具体的な戦略の有効性は不確実
目的
疑い例および無症候者における各種SARS‑CoV‑2検査戦略の有効性を、COVID‑19症例・入院・死亡の減少で評価する
方法
デザインと情報源
- コクラン方式の系統的レビュー
- CENTRAL、MEDLINE、Embase、Europe PMC、ClinicalTrials.gov、WHO国際試験登録プラットフォームを検索(最終検索 2024‑10‑07)
対象研究と集団
介入(検査戦略の要素)
- 検査種別:核酸増幅検査(NAAT。逆転写ポリメラーゼ連鎖反応[RT‑PCR]を含む)、抗原迅速検査(RDT)
- サンプル、対象、実施場所(在宅/医療者)、頻度(単回/週次/日次)、結果対応(隔離、確認検査、治療)などの組合せ
主要転帰
新規症例の減少、COVID‑19関連入院の減少、COVID‑19関連死亡の減少、検査に関連する重篤な有害事象
解析
- データの性質上、メタ解析は困難
- メタ解析なし統合(SWiM)を用い、エビデンスの確実性はGRADEで評価
結果
- 含入研究:21研究(RCT 10、NRSI 11)、計13,312,327人
- 優先比較(検査戦略 vs 無検査/標準ケア):長期療養施設の週1回RT‑PCR vs 無検査の観察研究1件が入院と死亡を報告
- RDT vs NAATなど他の優先比較では、主要転帰の報告がなく結論不能
- 検査関連の重篤な有害事象、心理的・就労への影響などのデータはほぼ欠如
結論
- 利用可能なエビデンスは全体として「極めて不確実」
- 検査戦略が入院・死亡・症例発生を減らすかについて、確かな結論は現時点で下せない
- 標準化されたコアアウトカムセットに基づく研究設計と、実装の阻害・促進要因を扱う質的統合の併用が望まれる
リンク