腎機能障害を伴う心不全患者におけるミネラルコルチコイド受容体拮抗薬​​​​​​​​​​​​​​​​

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38739064/

腎機能障害を伴う心不全患者に対するミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)の有効性と安全性を検討した。

研究デザイン:
- RALES試験とEMPHASIS-HF試験の個別患者データを統合して解析した。
- 推定糸球体濾過量(eGFR)が30 mL/min/1.73 m2未満に低下した患者とそうでない患者に分けて、MRA治療と転帰の関連を評価した。
- 主要評価項目は、心血管死または心不全による入院であった。

結果:
- 4,355人の患者が解析対象となり、そのうち295人(6.8%)が無作為化後にeGFRが30 mL/min/1.73 m2未満に低下した。
- eGFRが低下した患者は、ベースラインの心機能と腎機能がより障害されており(eGFR 47.3 ± 13.4 mL/min/1.73 m2 vs 70.5 ± 21.8 mL/min/1.73 m2)、eGFRが低下しなかった患者と比較して主要評価項目のリスクが高くなった(HR: 2.49; 95% CI: 2.01-3.08; P < 0.001)。
- しかし、MRA治療による主要評価項目のリスク減少は、eGFRが30 mL/min/1.73 m2未満に低下した患者(HR: 0.65; 95% CI: 0.43-0.99)とそうでない患者(HR: 0.63; 95% CI: 0.56-0.71)で同程度であった(Pinteraction = 0.87)。
- eGFRが30 mL/min/1.73 m2未満に低下した患者では、MRA治療によりプラセボと比較して100人年あたり21人の主要評価項目発生が減少した一方で、重度の高カリウム血症(>6.0 mmol/L)が3人増加した。

結論:
- eGFRが30 mL/min/1.73 m2未満に低下した患者は非常に高リスクであるため、これらの患者におけるMRAの絶対リスク減少は大きく、eGFRの低下により自動的に治療を中止すべきではない。

この研究は、腎機能障害を伴う心不全患者に対してもMRA治療が有効であることを示しており、腎機能低下を理由に生命を救う治療を控えることのないよう示唆している。ただし、高カリウム血症のリスクには注意が必要。​​​​​​​​​​​​​​​​